2021年度理事長所信

第62代理事長 松木 一史

2021年度スローガン
Well Being
~最高の仲間と成長できる場所に~

【はじめに】

あなたの人生は前に向かって進んでいますか。

 

新型コロナウイルス感染症の拡大により、私たちの生活は一変しました。不要不急を避け、人と人とが会わない、人と人とが距離をとるソーシャルディスタンスが日常となり、これまで当たり前と感じていたものを問い直す貴重な契機となりました。人々がこれまで経験したことのない社会状況の中で、行動が変容し、価値観までも変えるという社会的転換点に今、私たちは立たされています。これまでの成功体験は、通用しない時代に突入しようとしています。

八代青年会議所は1959年(昭和34年)に設立され“より良い変化をもたらす力を青年に与えるために発展・成長の機会を提供する”ことを使命として、また会員一人ひとりには“明るい豊かな社会を作り上げよう”という綱領を定め、日々活動・運動を行い今日に至ります。今こそより良い変化をもたらす青年の力が社会に求められている時ではないでしょうか。

 

【最高の仲間】

昨年の熊本南部豪雨水害時には地域の枠を超えて全国の会員の皆様からたくさんのご支援を賜りました。ご支援いただいた皆様に感謝すると共に改めて先輩諸兄の皆様が永きに渡り積み上げてこられた信用ではなく信頼の文化がこの会にはあることを再認識しました。

このように青年会議所の良さは地域を代表する20歳から40歳の同年代の経営者、経営幹部候補で構成されている点にあると考えます。事業を営むためにリスクを抱え、事業を成功させようと日々学びを得るために研鑽している同志の集まりです。社会問題にもいち早く問題意識を持ち柔軟な発想で果敢に挑戦し、そこで得た最新の情報をお互い共有できる。活動を通してお互いを知り、飲食を共にすることで絆も深まり、ともに未来を語り合い刺激しあえる最高の仲間でありたいと考えます。

 

【まちづくり】

ある試算によると、ここ15年間で、年収が500万円の人なら35万円、700万円の人であれば、50万円も手取りの収入は減っています。これは人口減少により社会保険料が上がり、税金の各種控除がなくなっているからです。我がまちにおいても人口減少、少子高齢化は深刻な問題です。八代市の人口統計では昭和55年から人口減少の一途をたどっています。20年後の2040年には現在の約2割以上減り、人口10万人を下回ると予測されています。人口が減るということは仕事も減り、職業によっては2割以上も売り上げが減ってしまいます。これらの原因は全て少子化にあるのです。消費が回らないと経済も回りません。そんな中、現在、八代市においても男性、女性共に2人に1人は50歳以上であり、直接的な問題解決の難しさが伺えます。しかし、持続可能な社会を考える上でも子どもの存在は絶対に欠かせません。私たちはどうすればよいのでしょうか。私たちは子どもを産み育てられる世代であり、産み育てている世代です。答えは私たちの家庭、身の回りにあるといっても過言ではありません。少子化から子どもを産み育てやすい社会、多子化への議論、これは私たちにしかできない議論ではないでしょうか。また多子化への議論にはもう一つ大きな意味があります。それは、現代社会におけるジェンダー平等の問題、性による役割の分担の不公正さ、長時間労働などの労働環境の問題、伝統的な偏見など、多子化への議論をすることによって多くの問題が浮き彫りにされることです。今こそ地域を巻き込み、子どもを産み育てたくなる社会、多子化への議論を深める必要があると考えます。子どもを産み育てやすい社会の実現は、子どもがいる人も、子どもがいない人も双方が幸せになることなのです。

 

【ひとづくり】

冒頭にも申し上げましたように、青年会議所の使命は“より良い変化をもたらす力を青年に与えるために発展・成長の機会を提供する”ことです。ここに興味深い調査があります。昨年ユニセフが実施した「子どもの幸福度」をはかる調査で日本は先進国や新興国など38か国中、20位でした。7年前の調査時の6位から14ポイント下げた結果となっています。調査内容に目を向けると身体的健康分野では1位となる一方でスキルの分野(学問・社会的スキル)では27位、精神的な分野では37位で最下位に近い結果となっています。さらに読み進めると、より多く外で遊ぶ子どもの方がより幸せであるという結果が示されています。外遊びの機会は子どもの幸福度に関係するそうです。また子どもたちを取り巻く環境についても、地域に十分な遊び場があると答えた子どもの方が、そうでない子どもに比べて、より幸せと感じていることも分っています。コロナ禍の状況からも今まさに子供たちが外で夢中になって遊べる環境が必要だと考えます。

八代青年会議所ではこれまで八代城跡をやつしろのシンボルにしたいと白鷺城まつりを数年にわたり継続してきました。昨年6月には文化庁の日本遺産に24件の石工の郷に息づく石造りのレガシーの1つとして認定されました。この気運を追い風に2022年の築城400年に向けて、この地がやつしろの子どもたちにとっても思い出の場所となり、地域の誇りとなるよう磨き上げていきたいと考えます。

 

【SDGsの推進】

紛争、感染症、気候変動、貧困。人類は、これまでになかったような数多くの課題に直面しています。このままでは、人類が安定してこの世界で暮らし続けることができなくなると心配されています。そんな危機感から国連は、課題を整理し、解決方法を考え、2030年までに達成すべき具体的な目標を示しました。それが「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」です。持続可能とは、何かをし続けられる、ということです。SDGsは、私たちが、ひとつしかないこの地球で暮らし続けられる「持続可能な世界」を実現するために進むべき道を示したものです。一人ひとり、みんながそれを自分事と考えて、行動することが大切です。一方、ビジネスにおいても社会の課題解決と企業利益の創出を同時に達成するという考え方が日本にはありました。近江商人の経営哲学「三方よし」です。これは、「売り手によし、買い手によし、世間によし」という意味です。商売において売り手と買い手が満足するのは当然でありますが、そこにさらに社会に貢献できてこそ良い商売であるという考え方です。SDGsが課題目標とされていますが、ビジネスの視点でとらえた場合、SDGsはまさに世界の困りごと、世界のニーズと置き換えることができるのではないでしょうか。

本年は、SDGsのゴールを「三方よし」の「世間によし」と捉え、各自のビジネスをアップデートするための機会を作ります。青年会議所は中小企業経営者および経営幹部候補の集まりでもあります。私たちがSDGsを推進することが、ゆくゆくはやつしろ地域全体の中小企業で行われ、企業が社会により良い影響を与える事ができると考えます。そして「売り手である八代青年会議所メンバー企業よし、買い手であるやつしろ市民よし、世間であるやつしろよし」と私たちの住み暮らすやつしろをよりよくしていきましょう!

 

【良い組織】

Well-beingとは身体的にも、精神的にも、社会的にも「良好な状態」にある持続的な幸せを指します。良い組織について最善の知見によるとWell-beingが組織の中で様ざまな良いことを波及効果のように引き起こす重要な要因であることがわかっています。「VERY HAPPY PEOPLE」という有名な研究結果があり、これは単にHAPPYな人ではなく「VERY」にHAPPYな人達を探し出し、その特徴を見つけたという研究です。最初は、学歴や収入が高いとか、良い会社に勤めていることが影響してくるだろうとの仮説があったのですが、そこでわかった共通点は、彼らにはすべからく「よい友達がいる」ということでした。私は八代青年会議所がWell-beingな仲間とお互いを高め合える団体であってほしいと考えています。そのためにまずは自分自身が変わる。自分自身が幸福になることです。周囲の人を幸福にしたいと思ったらまず自分自身が幸福でなければ周囲の人を幸せにすることはできません。一人ひとりにできることは小さいことですが、できることからまずは家族、同じくそれぞれの社員、そして地域をよりよくしていきましょう!

 

【最後に】

 コロナ禍の時間の中で目にしたある研究結果に衝撃を受けました。八代青年会議所が設立された1959年から1987年までの調査によると、日本人の一人当たりのGDPは右肩上がりでこの30年間で5倍に成長しているのは既知の通りですが、それに対し国民生活選好度調査の生活満足度はまったくこの30年間変動していないというものです。この結果を見て、「いったい人類の進化とはなんなのか」と大いなる熟慮を迫られました。改めて振り返るまでもありませんが、これまでの人類は「平均寿命」や「一人当たりのGDP」などのデータを重視し、その改善を目指してきました。その先には幸せな社会が待っていると信じてきたからです。しかし、現実はどうでしょうか。たしかに寿命は延びたし、経済的に豊かになり、生活も便利になりました。それだけの進化があったにもかかわらず、「実感としての豊かさ」を感じられていないのが偽らざる現状です。これまでの努力が無駄であったわけではありません。言うまでもなく、「貧困・病気・戦争」は長らく人類を苦しめてきた3大苦であり、それらを大きく克服した20世紀は後の歴史家から「黄金の世紀」として称賛されることでしょう。しかし苦しみを取り除きさえすれば、人々が人生に対して「意味・目的・満足」を感じられるわけではありません。すなわち、マイナスを減らすということと、プラスを増やしていくことは、異なる営みである可能性が高いのです。私は幸福になりたい。そして幸福でなければならない。コロナ禍の時間の中でそう強く感じました。不要不急を避けると毎晩家族といる時間も作れ、新しいことを始める機会を作ることもできました。そうなると、これまでの行動を疑ってしまう自分がいます。果して今まで儀式的に参加していた会合は何だったのかと、本当に必要な時間だったのかと。

昨今、働き方改革が叫ばれています。これからは人口右肩下がりの時代だからです。このような時代背景においては必ず構造改革が求められます。何かをやめて新しいことをやるとか効率化するのに二つ三つのものを一つにまとめてスリム化するなど、そうなると必ず反対する人が出てきます。「昔はこうだった」と。こうなるとなかなか手を打てません。そして最後にはどうしようもなくなってやらざるを得ないという状況になるのです。このように右肩下がりの時代には、より良い変化をもたらす青年の力が求められるのです。

さあ、やりましょう!まずは、これまでに敬意を表し、これからの時流を正しく認識し、社業を磨き家族、社員を幸福にする。その和が互いの社業により良い変化を起こし、さらに幸福をもたらし拡大し合える。そして地域を笑顔溢れる明るい豊かな社会へと導ける。そう信じ歩みを進めてまいります。すべては持続可能で幸福な都市やつしろの創造のために。

 

そして何よりあなたの人生を前に進める良い時間を共に過ごしましょう!

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