2023年度理事長所信

第64代理事長 髙見 聡一郎

2023年度スローガン
未来への一歩
~仲間と共に やつしろのために~

はじめに

私たちは今まさに時代の大きな転換期にいるといっても過言ではありません。新型コロナウイルス感染症の影響や、頻繁に起こる異常気象や自然災害、そして昨年2月に起きたロシアのウクライナ侵攻による世界情勢の変化など、ブーカの時代と言われるように、未来が予想しづらく、今までの当たり前が、当たり前でなくなっています。そんな時代だからこそ、一人ひとりが主体的に物事を考え、行動を起こすことが私たち青年会議所には求められているのではないでしょうか。「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残ることが出来るのは、変化できる者である」との有名な言葉もあります。本年は先輩たちが築いてこられたJCI八代の63年にわたる信頼と実績を継承しつつ、時代にあった組織へアップデートを図ると同時に、この組織に集った仲間と共に地域に必要とされる運動を展開することで、八代の明るい豊かな社会の実現に貢献していきます。

 

まちの未来をともに描く

以前、球磨川河口の清掃活動に参加した際、八代海に流れ着くゴミの多さにとても驚かされました。近年では、マイクロプラスチックなどの海洋ゴミによる生態系への影響も懸念されています。豊かな自然環境を子供や孫の世代に残していくためには、私たちの生活に身近な問題に目をむけて、一人ひとりが環境への意識を高める必要があるのではないでしょうか。また、八代市の燃えるごみの組成状況を見てみると、燃えるゴミ内に重量ベースで約21%の資源物の混入があったり、生ごみについてはその重量の多くが水分を含んだ生野菜や賞味期限切れと思われる食品が混在したりするなど、発生抑制はもとより、分別やリサイクルが課題となっています。限られた資源を有効活用できるよう、より一層環境に配慮した取り組みが求められています。

私たちの住み暮らす八代は、球磨川の豊かな恵みと地理的な利点で交通の要所として繁栄してきました。新幹線や高速道路などの高速交通網はもとより、近年では大型クルーズ船が寄港する重要拠点港も整備され、またその周辺は物流の拠点として発展するなど、この八代の地理的な魅力や可能性を改めて実感しています。そんな中でも、八代市の八代外港と上天草市松島町の間約8.8キロをつなぎ、車で、約10分で結ぶ八代・天草シーライン構想は、観光だけでなく、防災そして産業面に大きな効果がもたらされると期待されており、今後計画路線への格上げのためには、ここ数年の民間の動きが大切であると言われています。私たちJCがもつ様々なネットワークを活かし、この構想の実現に寄与していきたいと考えています。

 

人の成長と国際交流

 皆さんはリーダーと聞いて何を思い浮かべますか。辞書で調べると、先導者や統率者という言葉が出てきます。共通することは、誰かを導くということです。最近では、良くも悪くも結果を出すことに終始してしまい、マネジメントのプロを無意識のうちにリーダーとして認識してしまってはいないでしょうか。リーダーは、仲間の熱意を引き出し、あるべき方向へと導く役割を担うとされています。先行きが見通せない時代だからこそ、我々は未来を創造し、夢を語ることが大切です。そしてその夢を現実のものにできるよう、一人ひとりが自己研鑽に努め、所属する組織や会社の仲間を導いていく存在にならなければなりません。

八代では、毎年1000人近くの人口が減少しており、このままでは2060年には人口が約半数になると予測されています。特に15~24歳の若者の市外流出が多くみられ、その後、地元に戻ってこないことが減少原因の一つとも言われています。このまま人の流出が続けば、地元で仕事をさせて頂いている私たちの営みにも大きな影響がでることは否めません。地域経済の発展のためには、地元で働くことへの幅広い選択肢を考えられるきっかけを若者たちに提供することが必要です。

ここ数年、技能実習生を含め、多くの外国人を八代でも見かけるようになりました。異なる文化や慣れない環境の中、異国の地で生活をすることは大変なことと思います。私自身、学生時代に短期留学をしたことがありますが、思うようなコミュニケーションが図れず現地での生活に苦労しました。しかし支援センターなど周囲のサポートのおかげで、次第に友人や理解者が増え、食事や買い物、観光にも積極的に出かけることができるようになりました。誰もが心豊かに安心して快適に暮らすためにも、そこに住み暮らす人々と外国人が国籍に関係なく様々な文化や価値観を理解し、互いを尊重し合う共生社会の実現に向け、相手をおもいやる心を育んでまいります。

 

会員拡大とフォローアップ

全国的に会員の減少が進んでいる中、JCI八代では昨年は23名の入会があり、数年ぶりに会員数は増加に転じました。人口減少、経済の低迷、人間関係の希薄化など、入会に至らない様々な要因がありますが、今後もJC活動を行うためには、会員の拡大は必要不可欠です。行動を起こすことができる仲間が増えれば増える程、社会にインパクトを起こす大きなエネルギーが生まれ、そしてその力が私たちの運動・活動の大きな源となり、八代地域の未来を明るく照らすことができると私は信じています。また、2021年より5ヵ年計画で立てられた熊本ブロック版理念共感拡大グランドデザインでは、理念の浸透に重きを置いています。実際にJCI八代でも、入会3年未満のアカデミーメンバーが増え、JCがどういう組織であるか分からない、何をしたらいいのか分からない、そして分からないから参加しづらいとの声もあがっています。アカデミーメンバーに対して歴の長いメンバーがサポートをし、JCについての理念や活動内容についても伝えていく必要があります。

私たちの組織には、総合連絡調整機関として日本青年会議所という全国組織が設けられています。同じ青年会議所という組織ではありますが、各地会員会議所とは運動内容、スケールなどが大きく異なります。青年会議所の仕組みや内容を理解し、運動や推進事業などの情報共有を行うことで、JCI八代のより良い運動・活動に繋げていきます。

 

持続可能な組織へ

グループとチーム、2つ似た言葉がありますが、「グループ」は仕事を遂行するために集められた集団をさし、「チーム」は同一の目標が共有され、それに向かって行動する集団をさすと言われています。いつの時代も、志を同じくする仲間が集い、地域に必要とされる運動を起こす団体であり続けたいと考えています。そのためには、まずは母体となる組織運営がしっかりと機能していなければなりません。JCI八代でも在籍年数の長いメンバーが少なくなる中、組織の仕組みや運営をする際に必要となるルールを知らないメンバーも増えています。この組織を運営していくにあたってそれを伝えていくこと、そして時代にあった内容に改善していくことは大切な役割の一つでもあります。また、青年会議所はその名の通り、会議を通して物事を決めていきます。私たちの運動・活動の原点となるその諸会議が効率的に運営できるよう、そして計画する事業がより費用対効果として高いものとなるよう、取り組むことが求められます。さらに「生産性が高いチームは心理的安全性が高い」との研究結果が発表されています。組織の中で自分の考えや気持ちを誰に対してでも安心して発言できる組織づくりを行うことで、メンバーが参加しやすく、エンゲージメントの高い組織にしていく必要があります。

 

最後に

「あなたは何のためにJCをしていますか。あなたのまちからJCがなくなったら困る人はいますか」2019年に日本青年会議所の事業に参加した際、ある先輩から頂いた言葉です。私は返す言葉が見つからず、胸の奥深くに大きな衝撃が走ったことを今でも鮮明に覚えています。当時入会間もない私は、目的もなく、ただただ例会や事業に参加するだけで楽しく、それで良いと思っていました。しかし、その言葉を反芻するうちに、私の脳裏に、ある大切な人たちの顔が思い浮かんできました。それは、仕事がある中でも地域のためにと快く送り出してくれている両親や、この活動を理解し、サポートしてくれている妻や子供たち、そして何より会社のためになるからと信じてくれている会社の仲間の顔でした。私は、それ以降、自分のため、そして身近な人たちのために、精一杯自分のできることをしようと心に決め、JC活動に取り組んできました。メンバー一人ひとりそれぞれに目的があると思いますが、私たちのこの活動は当たり前のことではなく、お世話になっている方々がいるからこそ出来ることに、間違いはないと思います。各種関係団体を含め、周囲への感謝の気持ちを忘れずに限りある時間を大切にしながら活動を行えば、あなたも、まちもより良いものになると私は確信をしています。

今年のスローガン「未来への一歩 ~仲間と共に やつしろのために~」としたのはアフターコロナ・ウィズコロナを見越し、JCらしく運動をつくっていきたいという決意でもありますが、それ以上に、メンバーに新しいことにチャレンジしてほしいと思いを込めてつけさせて頂きました。私自身「できるかできないかではなく、やるかやらないか」この言葉に心打たれ入会を決意しました。はじめの一歩は不安で、途中道に迷うこともあるかもしれません。しかし、これから私たちの行う運動や活動はきっとこの地域の、そしてまちの誰かの役に立つはずです。20歳から40歳までのこの限られた時間を精一杯楽しみ、仲間を信じ、そして夢を語り合い、共に素晴らしい一年にしていきましょう!

 

 

一般社団法人八代青年会議所 第64代理事長
髙見 聡一郎

 

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