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2025年度 理事長所信
2025年度 理事長所信
一般社団法人 八代青年会議所
第66代 理事長 山田朝日
「スローガン」
Stand up Leaders ~挑戦と変革~
はじめに
「明るい豊かな社会」この言葉を聞いて、皆さんは現状がどのようになることが、明るく豊かだと考えますか?
2025年、日本は戦後80年を迎えます。戦後、80年の歩みの中で、日本は経済や治安の面などで世界に誇れる国家を創ってきました。
戦後間もない頃、日本は言うまでもなく貧しく、決して豊かではなかったはずです。焼け野原になった国土の中で先人たちは、戦後の歩みを進め、希望を失わず日本の再建に取り組み、「Japan as №1」と世界に言わしめた経済大国を創り上げました。
昭和初期、家電製品が世に普及し始めたころ、「冷蔵庫」「洗濯機」「炊飯器」など、3種の神器と言われ、人の手で行っていた家事を自動化することや、物質的豊かさこそが、「幸せだ」と、追い求めていたのではないでしょうか。
追い求めた物質的豊かさの先には「幸せ」があったでしょうか?現在、社会において、物質的な豊かさは、格差がなくなりつつあります。様々なデータがありますが、日本人の幸福度は世界において50位前後で推移しています。世界に誇る経済大国でありながらも幸福度は低いのが現状であり、経済的・物質的豊かさ=幸福度ではないということす。
21,837人。これは令和5年における国内での自殺者数です。ピークより減少はしていますが、いまだに多くの方がそのような人生の選択を取っています。この豊かな日本においても。そのなかでも、小中高生の自殺者は増加傾向にあります。
681,948件。これは令和4年に確認された分の小中高生のいじめの件数です。増加の一途をたどっています。間違いなく青少年の健全な育成の妨げとなっています。
家電、スマホ、AI、どんなに文明が進化しようとも、それは人間の幸福の一助であり、そのものが幸福をもたらすことはありません。人は人によってでしか、「幸せ」にすることはできないのです。未来を担う子供達の為に、今、我々は何ができるのか?ただ、毎日を暮らすだけでいいのか。また、何が残せるのか。大人が真剣に考える時が来ていると考えます。誰かが勝手に変えてはくれません。
今、時代が求めている物は、現状をしっかりと把握し、変化を起こすことのできる「想い」と「リーダーシップ」を持った人の存在です。傍観者ではなく、主体者を求めています。今、動き出そう未来の為に。一人ひとりがそのリーダーなのです。
【65年の歴史、レガシーを紡ぐ】
2024年、八代JCは65周年を迎えました。1959年の設立より、先輩諸兄姉により紡がれてきた歴史があります。65周年では、60周年時に制定された6つのビジョンについても検証を行い、メンバーに共有することができました。
70周年に向けて、レガシーを紡ぎ、地域に必要とされ続ける経済団体であるために、本質を見失わず、運動の構築に努めて参ります。
現状に満足することなく、明るい未来を信じ続け「未来を創ってきた」。不確かで、先が見えない現代だからこそ、その不確かを、確かなものに変えていく。それが八代青年会議所です。誰かが変えるのではない。私たちが未来の為に今変える。
66年前の創始の精神を忘れることなく。まちづくり、ひとづくり、人とのつながりをつくり続けてきた八代JC。その歩みは、確かな足跡を残し、66年目も走り続けます。
【まちづくり】
ローカルとグローバル
今、世界、日本を取り巻く経済情勢は変化が大きく、1年先も読めない状況と言えます。特に、コロナ後の世界経済は為替の変動幅などに象徴されるように、変化が激しい状況です。国内経済においても、物価・エネルギー高騰、前例のない最低賃金の上昇による経済情勢の変化が起こっています。その余波は、地方経済にも影響を及ぼしています。そのことは内需を回す経済の限界がきているとも言えます。
八代市は熊本県第2の都市でありながら、年間1,000人前後の人口減少が続いています。今後もこの現状が改善する兆しはありません。
県北においては、台湾半導体大手のTSMCの進出などにより、人口増、雇用増などの明るい話題があります。
八代という地域は以前より、「田園工業都市」と言われてきました。近年、内閣官房では国をあげて「デジタル田園都市国家構想」を構想し、実際に動いています。
地方都市の活性が、令和の日本において重要であり、八代はそのモデルともなるポテンシャルを秘めています。
人口という経済のパイが減少するなかで、経済成長する方法は「外貨を稼ぐ」ということが言われます。今や、世界はスマホ1つで世界とつながれる「グローバル」を超えた「シームレス」と言えます。国際との何らかの接点や国際的な視点を持つこと、は今後の地方経済において重要であると考えます。
やつしろにはたくさんの歴史ある文化財、名所、祭りなど様々な資源があります。以前に比べると、やつしろ地域で行われている「祭り」などに関わる、参加する人の数そのものは減少しています。
「祭り」や「文化」「名所」などは、地域の人と人とが交流する、つながるための大切な場所や時間だと考えます。人が集う場所や時間の創出も必要であると考えます。
また、現在のインバウンド需要の中でも、海外の旅行客からすると、日本の文化や名所は行ってみたい、触れてみたいものなのです。また、地域の中で住み暮らす外国人の数も増加傾向にあります。地域は大きな可能性を秘めています。
地域の中にある、文化、名所の発信は、地域のみならず、国際との関わりを創出することにもつながります。八代JCはそのような地域の文化、名所を発信し、地域づくり、国際的な接点造りに努めてまいります。
青年会議所がもつ、国際のネットワーク。日本青年会議に設置してある国際系委員会。様々に活用、いつでもつながれる組織であり、JCだからできることです。
昨今では頻発する自然災害への備えも不可欠です。八代JCでは、3年に1回の防災マニュアルの見直しや、連携するパートナーとの協定の見直しも行いレジリエンスの強化に努めます。
八代JCでは以前より、八代と天草を10分でつなぐ橋の構想「八代・天草シーライン構想」運動を、理念をともにする経済団体と推し進めております。本構想は、経済圏域を広げること以外にレジリエンスを高めることにもつながり、今後、県南圏域や熊本、九州の経済のためにも価値があり、本年も推進してまいります。
【ひとづくりの課題解決】
課題解決と前進
10年後、20年後、もっと先の未来を担うのはまぎれもなく子供達です。日本の宝、地域
の宝である青少年の健全育成は必要不可欠です。現在、社会において、子供達がおかれている環境は変化しています。教育におけるデジタルの推進や、英語教育が小学生よりスタートする、などは世界と教育格差をつくらないためにもポジティブな取り組みであり推奨すべき変化であると思います。
一方で、SNSなどの普及によりネットに関する犯罪や、SNSなどを通じてのいじめの問題など社会の変化と共に、新たな社会課題が起きているのも事実です。それが結果として出ているのは年々増加する子供のいじめの件数の増加です。
我々がこの状況を傍観していては、何も変わりません。健全な青少年の育成のためには、課題を分析し解決の一助となるよう、未来を担う子供達への関わりが不可欠であると考えます。
グローバル化は社会に多様性をもたらしました。技術の進展により社会は質的変化が起こっています。今や、従来型の知識伝達型の教育システムから、多様性を包括する環境の中で自ら課題を設定する課題創造型人財の育成も必要だと考えます。
ただ、受動的に教えられたことを学ぶ教育ではなく。子供達がやりたい事をさがし、意欲的に学ぶことのできる環境づくりが必要であると考えます。子供の主体性を引き出し、個人として尊重されることが、子供の学習意欲、人権、権利の視点からも重要であると言えます。多様性の中を生き抜く、人格の創造と健全な青少年の育成は我々の使命だと考えます。
熊本県における高校生の地元就職率は令和5年ベースで、64.8%(就職希望者のうち)であり、全国でもワースト5位です。この課題の解決の一助となるべく、八代JCでは、2023年より「オシゴト探検フェア」の事業を展開し、未来を担う高校生達にやつしろ地域の企業をより多く知ってもらい、1人でも多くの高校生が地域に残ってくれること、また、大学等で一旦、やつしろを離れてもまた就職で帰ってくることを願い、事業を展開しております。この事業は2024年、九州地区におけるAWARDS KYUSHUに選出されております。3年目となる2025年は八代JCのみならず、賛同いただく団体と共に推進し波及効果を促進し、課題の解決に努めます。
3年目の集大成で「進化」「深化」「真価」3つの「しんか」に価値をおき、事業の構築を進めてまいります。
人こそ宝。青少年の健全育成、若者の地元定着は解決すべき課題であると考えます。
【会員の拡大と育成】
拡大と育成、繋がりへ
2005年、八代JCのメンバー数は100名を超えていました。近年は期首メンバー50名前後となり期末メンバー数60名前後で推移しています。
何のために拡大するのか?人がいないと、LOMの存続が危ぶまれる、事業ができなくなる。などと言われますが、私が考える会員拡大の意義は、同じ志を持ったメンバーの増加は、地域に多くのポジティブな変化をもたらすことができるからです。
青年会議所の理念である「明るい豊かな社会」の実現、に共感をしたメンバーが集うことが青年会議所にとっても、地域にとっても必要であると考えます。
その1人のメンバーの波及効果は、自社の事業を通じ、家庭を通じ、地域を通じ、青年会議所の活動だけでなく、より良い変化をもたらしてくれると信じています。
また、近年は経験が豊富な歴の長いメンバーは減少傾向にあり、入会3年未満のアカデミーメンバーが平均して6割を超える状態が続いています。日本青年会議所の調べによると、青年会議所の平均在籍年数は以前、7年ほどあったのが、近年では4年となっています。
平均在籍年数が短くなっても、以前と変わらずに青年会議所としての事業構築を行っていくためには、アカデミーの育成は重要であり、同じベクトルで活動、事業を展開していくうえで不可欠です。経験豊富なメンバーや、八代JCシニアクラブの先輩諸兄姉との交流を通じて、青年会議所の歴史や使命を感じてもらうことも必要であると考えます。
「言って見せ、やって聞かせて、させてみて、褒めてやらねば人は動じ」
これは有名な、山本五十六連合艦隊隊長の言葉です。今でも、様々な教育の場面で使われており、私も深く共感しています。この言葉にはあまり知られていませんが、先にこのように続きます。「話し合い、耳を傾け承認し、任せてやらねば人は育たず」「やっている姿を感謝で見守って、信頼せねば人は育たず」とあります。八代JCでは組織の中で、組織図が存在し、育成をする立場のメンバーもいます。常にメンバーへの感謝を忘れず。
時に、やって見せ、時に、任せ。信頼と感謝の上に成り立つ、成長できる組織を目指します。
【組織づくりと変革】
賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ
八代JCの「運営グループ」は、会社でいう本社機能を任っています。単年度制のJCでありますが、その運営方法は伝統的に引き継がれているものも少なくはありません。
近年では、AI、ChatGPTなどに代表されるデジタル技術の進歩により、事務作業効率が各段に上がり、企業や組織のなかで重荷だった作業を軽減できます。
組織運営の根幹は変えず、積極的に変化することのできる柔軟な組織づくりを目指します。
諸会議においても、会議の効率化を目指し、本来、時間を割かねばならない本質的な議論の最大化に努めます。メンバーの貴重な時間を使い、会議は行われます。その時間を無駄にすることなく時間の有効活用を目指します。
何よりも大事なのは、メンバーが参加しやすい環境づくりです。多様性の社会の中で、家族や会社とJC活動を両立させる。そこに不可欠なのは、家族の理解、会社の理解です。
そしてメンバーの理解です。JC活動に参加できない。そんな時もあるかもしれません。
人間は皆、組織の活動から少し離れてしまうと、参加しづらくなったりします。どんなメンバーでもいつでも活動に参加しやすい風土づくりの醸成も必要だと考えます。
そのためには、開かれた組織運営、メンバー一人ひとりが尊重される八代JCであり何時でもメンバーはJC活動ができる組織づくりが重要です。
現場で汗をかくメンバー。PCが得意で資料作成で汗をかくメンバー。メンバーのフォローの為に時間を使うメンバー。すべて、想いの基に行っている活動です。
すべてのメンバーの「努力」「汗」が尊重される組織が理想です。
「役に徹する組織。」役を知り、役に徹して、役を超えない。様々な団体で使われる言葉です。シンプルですが実際に行うのは難しいです。
役を知るとは、職務内容を知る事。目的を知る事。役に徹するとは、その役を務め上げる事。その分野におけるスペシャリストとなる事。想いを込める事。
最後の、役を超えない。とは、役に徹するに通じますが、自分の役に徹することで、自然と役の範疇を超えません。
実はこれが一番難しいのかもしれません。2025年の八代JCは皆が役に徹し、助け合い、人のエネルギーの最大化を目指します。そして、私たちはいかなる時の議論をすることからは逃げません。いかなる課題にも皆で知恵を出し合う組織を目指します。
また、八代JCの活動を広く市民の方に知ってもらう活動も重要であり、広報活動やSNS等の様々な手段を用いて継続いたします。
【豊かな人生の為に】
JCを通じて人生を創造しよう
幸せとは「人のつながり」だと思います。JCには3信条「修練」「奉仕」「友情」があります。私自身の人生を振り返れば、真剣に部活に打ち込んだ時期もあれば、学生時代に遊び惚けていた時期もあります。遊び惚けていた時期は、毎日をダラダラと好きなことばかりして過ごして居ました。
私が今でも繋がっている友人は、まぎれもなく部活などをしていた時に、1つの目標に向かい、互いに切磋琢磨し、きつい思いもしながら、ぶつかり合いながら、苦楽を共にした友人たちです。
人生100年時代、豊かな人生を送るには「よき友」の存在が不可欠です。青年会議所では、他で味わえない経験ができます。それが「修練」と「奉仕」です。
その「修練」をぶつかり合いながら乗り越えてこそ「友情」につながります。目標に向かい切磋琢磨し、友となり、豊かな人生を歩みましょう。
【最後に】
想いは1つ
熊本地震、令和2年7月豪雨。私はその時は青年会議所には入会していませんでした。別の職能団体の理事をしており、別の団体としてボランティア、復旧、復興活動をしていました。その時に目にしたのは、JCポロシャツを着た人たちがまちの復興の為に、汗をかいている姿でした。正直、私は以前、JCに対しネガティブな印象を持っていましたが、その姿を見た時に、青年会議所の見方は変わりました。
自分の会社も家庭もある中に、誰かの為に汗をかいて時間を費やしている。それは簡単にできることではありません。
青年会議所に入会し、活動していく中で自分たちが「まちづくり」をしているという実感はありませんでした。入会後、すぐに築城400年祭りがあり、私も1部会長として、会議などを重ね時間を費やす日々を送っていました。
迎えた祭り当日、目の前には想像を超える参加者の数がありました。多くの家族、子供がお城につどい、笑顔であふれていました。その、光景を見た時に、少しですが「まちの為に役にたったのだ」と実感がわきました。
当時、小学生だった息子たちもお祭りに来てくれました。翌日の学校では「お祭り」の話題があふれていたそうです。
多分。JCじゃないとできないまちづくりだったと思います。
「自分の限界を決めない。」入会2年目に日本青年会議所、熊本ブロック協議会へ出向して得たことです。誰しも、「役」を受ける際は戸惑ったり、躊躇したりすることがあります。「自分でできるかな」「大丈夫かな」と。
出向する前は、出向するような人は、すごい人ばかりで自分でやれるのか?という、思いがありました。しかし、実際に出向してみると自分より若い世代のメンバーがいたり、上程台で意見をいわれても真摯に向き合う人がいたり。沢山の刺激を受けました。
みな同じ、経済人。自分の可能性に蓋をせず、その中に飛び込めば、必ずJCは何かを経験させてくれます。それが青年会議所にあるopportunity(機会)の提供です。
LOMでも、ブロックでも、地区でも、日本でもどこにでも、活躍のフィールドは広がっているのです。ちょっとだけ、背伸びしてやってみれば、いつかその景色が当たり前になる。ある、先輩に言われました。「40までは人儲け」現役のうちに、後悔ないように行動しようと。
65年の歴史を紡いでくださった先輩方。これから共に歩みを進めるメンバーたち。想いは1つ、この八代を「明るい豊かなまち」にする。理由なんかない。だって、私たちの故郷だから。山も川も、海も街も。日奈久温泉、坂本の鮎、東陽のショウガ。泉のお茶。八代宮に妙見さん。777段に水島。本町の飲み屋街。やっちろの人。
あげれば切りがない郷土の良さ。
これまでも、これからも変わらないもの。変えていかねがならないもの。変えることが怖い、エネルギーがいる。だからJCがやるんだ!
66年目の歩みは小さな1歩かもしれない。けれど、確実な1歩。
八代JCも、やつしろもこれからだ!さぁ、行こう!
夢と仲間。2つがあればなんだってできる!
見せよう八代JCの底力。
1人の想いは社会だって変えられる。
Stand up Leaders! 一人ひとりが主人公です!