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対談事業〜重点戦略:次代を担う子供の育成と安心な暮らしの創世について〜

 


前回までの対談、第1回【〜想いを繋ぐ:若者と共創る八代の未来〜】と第2回【〜想いを繋ぐ:国際交流で導く八代の未来〜】より引き続き、

最終回の第3回は『八代の未来と国際』をテーマに、

八代青年会議所、髙見聡一郎理事長と八代市の中村博生市長との対談が実現いたしました。

八代青年会議所が行ってきた事業や八代市の取り組みなどを共有し地域一体となって考え、より良いまちづくりについて語り合いました。


−本日は、八代市の中村博生市長にお忙しい中、お時間をいただき、対談事業の第3回を開催させていただくことになりました。中村市長ご多忙のところ、お時間をいただきまして、誠にありがとうございます。

第1回、第2回では八代のこれからを担う若者と八代の未来と国際のテーマについて、またJCの活動についてお話をさせていただきました。

今回は、第3回目ということで八代市と八代青年会所がこれからの八代の未来について各テーマに沿って対談をしていただきます。

お二人には、まず自己紹介からお願いいたします。

では髙見理事長からお願い致します–


髙見:中村市長、本日は公務ご多忙の中、お時間を頂き有難うございます。

私は、一般社団法人八代青年会議所 本年度理事長の職をお預かりしております、髙見聡一郎と申します。家業は海士江町でからし蓮根やカット野菜の食品製造業を行っております。今年39歳で5,3歳の2人の子供がおります。本日は宜しくお願い致します。


中村市長改めまして中村です。本日はこのような機会を頂き、ありがたく思っております。

自己紹介ということですので、年齢から申し上げますと65歳で高齢者となりました。

生まれは金剛で、妻と娘、孫、ミニチュアダックスフンドとともに住んでおり、小学校1年生になった孫の成長が一番の楽しみです。

以前は家庭菜園が趣味でなすやきゅうり、ピーマンなど成り物野菜の成長を楽しみにしていましたが、市長に就任して以降、なかなか手入れする時間も少なくなり、今は庭の手入れを趣味的に行っております。

平成10年から市議会議員を2期、平成14年から県議会議員を4期務め、平成25年から八代市長に就任させていただいております。


−ありがとうございました。

それでは早速ですが、八代市の重点戦略にある次代を担う子どもの育成と安心な暮らしの創生について、

まずは、髙見理事長よりお話をいただければと思います−


髙見:2023年に発表された、全国の合計特殊出生率は、7年連続の下落で1.26となり、少子化がますます加速しています。青年会議所では、2021年松木理事長の時に、多子社会の実現に向けた取り組みを推進しており、実際に子育て世代の話を聞かせて頂いたことがありました。その際に話にでたのは、子育てにかかる費用だったり、企業への育休産休制度への補助だったりの金銭面のサポートが多かったように思います。

今年6月18日の熊日新聞に、子育て支援‘南高北低’という見出し記事がありましたが、本市では、今年9月から他の13市に先駆けて0-2歳児の保育料無償化に取り組まれるなど、手厚い子育て支援を実施して頂いております。

子どもを産み育てやすい環境を整備することは、子供の育成に直結していると思うので、是非今度もそういった金銭的なサポートをお願いできればと思います。そして、出来れば、企業が積極的に子育て制度を推進、取得しやすくなるように、企業への制度活用時サポートを進めていって頂ければと思います。さらに欲を言えば、その子供を産み育てるという前段階にある、恋愛や結婚というところに関しても様々な支援があると良いのではないかと考えています。


−続きまして、中村市長に今のお話を聞かれて八代市としてどのようにされていきたいかお話いただければと思います–


中村市長:子育て支援については、どれだけの手厚い支援策を打ち出せるか、市町村間の競争といった状況になっているようにも思っております。そのような中、本市では、理事長にもお話しいただきましたが、県内14市では初の取組となる保育料の無償化をはじめとして、18歳までの医療費助成や出産祝い金制度の創設など段階的に、そして着実に取り組んできたところです。

また、恋愛や結婚というお話もありましたが、本市は氷川町と芦北町と連携した婚活事業や、市民団体が開催する婚活イベントへの支援を行っております。これまで新型コロナの影響で思うようにできなかった部分が大きかったので、今後は体験型の婚活イベントを充実できればと思っています。

昨日、郡築校区で開催しました市政懇談会でも、「子育て支援を進めていただいている一方で、独身者も多く、その前の段階として婚活事業をどんどん進めてもらいたい」との意見があったので、さらに充実させていきたいと考えております。

子育て支援についても、まだまだ取組を充実させたいという思いを持っておりますが、少なからず財政的に影響を与える部分ではありますので、国の動向を見ながら、より良い方向に導いて行ければと思っております。

−ありがとうございます。今は、働きながら子育てをする時代なので、保育料の無料化は大変ありがたいなと思います。このような支援があると、男性にとっても、家族を持つ時の金銭的な負担の軽減にも繋がると思います。より結婚にも踏み切りやすくなる施策を打ち出していただいていると思います。髙見理事長より、JCとしての取り組みについてお話しいただきます−


髙見:日本青年会議所では、ベビーファースト運動というものを推進しています。内容は、子どもを産み育てたくなる社会を実現するために、企業・自治体・個人が妊産婦をはじめ、子育て世代が過ごしやすい環境を醸成することを目指す運動です。

キッズスペースの確保や、多目的トイレおむつ交換台の設置、従業員の産休・育休取得推奨などの環境整備の推進などを行っています。最近では、岡山県高梁市が9月1日(金)より水道料金の一部を最大6カ月間減免すると発表しました。高梁市が物価高騰で苦しむ事業者への支援とベビーファースト運動の推進を目的として実施しており、事業費は約1000万円となっています。

八代市でも他の市に先駆けた取り組みをされておられますので、こういう宣言を通して、市民や企業の機運を共に醸成していければと思いますが、如何でしょうか・・・(笑)

 

中村市長:大変貴重なご提案をいただいたと思います。宣言を行うことによる様々な効果が期待されますが、一方で、宣言を行うことで、具体的な取組を皆さん求められるのではないかと思います。

今後、子育て支援策を充実させていくなかで、取り組む内容と併せて宣言を行うかどうか、検討する必要があるのかなと考えます。

一方で、ベビーファーストの視点や考え方を持って各種施策を推進することは、すぐにでもできることなので、私を含め職員が常日頃から意識して取り組んでいかなければならないことだと思います。

本市でも男性職員の育児休業取得などの環境づくりを進めていますので、この取組が徐々に広がっていくものと思っております。


ありがとうございました。髙見理事長からのご提案に対して、前向きに受け止めていただいたかたちになりましたが、これまでの話題で、今度は逆に市長から理事長へお尋ねされたいことやご提案されたいことなどはございませんでしょうか。


中村市長:少子化対策というよりも、人口減少対策という意味合いが強くなりますが、子どもたちの数を増やすための方法として、移住や定住を増やすということも考えられるかと思います。

本市では、移住を検討されている方が、本市を移住先の候補とされる“きっかけ”となるよう、昨年8月に「移住・定住促進 補助金」を創設いたしました。

その他にも、東京圏からの移住者に対しましては、「移住支援金」の支給や、移住・定住の後押しとなるよう、市内の空き家情報と市内への希望者の情報をマッチングする「空き家バンク事業」、さらには、成約物件の「不要物の撤去」や「改修工事」などの費用の一部を補助する「空き家バンク活用促進事業補助金」などを実施しております。

また、都市部に赴(おもむ)いて移住や定住を考えていらっしゃる方を対象とした相談会にも積極的に参加しています。

今後も、移住・定住の促進に向けて、体制を強化しつつ、全庁的に連携を図りながら、あらゆる施策を総動員して取り組んでまいりたいと考えておりますが、八代青年会議所からアイデアや考えられる取組等があれば、お聞かせいただきたいと思います。

 

髙見:移住定住というのは、日本人だけじゃなく、外国の方も含めて考える時代になってきていると、新聞等を見ていて思います。特に熊本市の方では、少し議会で揉めたような記事もありましたが、多文化の共生、特に介護の人材や農業の人材などが、非常に不足していると思いますし、実際うちの会社でも、人手不足で外国の技能実習生を、8名ほど雇用させていただいております。そういった方々も含めた取り組みが今後はますます必要になってくると思います。

そのために住みやすい町として、国際協会さんとかもされてらっしゃいますが、そういった方々への生活面でのサポートですとか、日本語の取得に向けたフォローもあわせて必要になってくると感じた次第です。

逆に日本人、県外の方の取り組みは、市長も以前から仰っておられますが、八代市もいろんな政策をしていますが、なかなか対外にPRできてない。今回のお話を伺って、私もホームページ見させていただきました。東京への移住者で100万円近く、最大で200万円近く条件が合えば補助が出るといったところも知らなかったので、そういった制度などを対外にPRを行うなど、わかりやすいように、若者向けに動画を作る、チラシを作って、より刺さるような取り組みっていうのが効果的なんじゃないかなというふうに私は思った次第です。

最近では八代市のLINEで、子育ての情報や、花火大会のご案内をお知らせしており、登録している人も多いと思います。登録者が多いところで色々な情報が取れるというところは、町の魅力が上がる一つかと思います。

 

中村市長:良い提案をしていただいたと思います。PR不足は以前から 八代青年会議所も構成団体となっておられる経済4団体の皆様からもご指摘いただいており、私自身もそう思っております。デジタル化を進める中で、さまざまな媒体で情報を発信していきたいと思っておりますので、期待していただきたい。

−ありがとうございます。それでは続きまして、同じく重点戦略の地域の魅力と賑わいの創出の中の人と企業の新たなチャレンジでの支援と未来を担う若手産業人材の育成について、髙見理事長から本年の八代青年会議所の取り組みについてお話いただければと思います–


髙見:本年、青少年育成事業として、やつしろオシゴト探検フェア2023を濱田鈴ら実行委員長のもと開催をしました。本市では、高校卒業後に約6割近くが市外に流出している現状がある中、こどもたちが仕事の体験を通して地元企業の職業や職種を深く理解し、将来的に八代に残りたい、または戻りたいと感じるきっかけを作ることを目的として開催させていただきました。

一日目は、くまモンポート八代にて、小中学生を対象に、仕事の体験をして頂き、二日目はトヨオカ地建アリーナにて、高校生の授業の時間をお借りして、1500名近くの生徒に参加頂き、より就職を身近に感じてもらえるような事業を行いました。

近江商人の三方よしという言葉がありますが、出展企業さま、参加して頂いた子供たちそして、この地域の三方がよりよくなる、その一つのきっかけづくりがJCで出来たのではないかなと思います。

 

中村市長:若者の流出は、本市にとっても大変重要な課題であります。そのような中、「やつしろオシゴト探検フェア」の開催は、大変ありがたいことでありますし、参加した子ども達たちからは、「さまざまな仕事を知ることができ、貴重な機会になった」との感想もありました。

まずは地元のことを知ってもらうことで、子どもたちがやりたいことを見つけるためのサポートをしていくことが私たち大人の役割であると感じました。

実行委員長の濱田さんは「やつしろ未来創造塾」の第3期生でもいらっしゃいます。意欲のある若手事業者等を対象として、地域課題解決を目指した未来創造塾の受講生が、さらに若い世代の育成に向けて取り組まれておられると伺って、大変嬉しく思っているところです。これこそ人材育成に繋がっていくものと思っておりますし、創造塾も長く続けていなかければならないと思っております。

また、昨年は経済開発同友会の主催による「やつしろ高校生未来会議」に市も協力させていただきましたが、高校生自身が地域の魅力や課題を考え、地域の方々と触れ合いながら、主体的に地域づくりに関わっていくことの大切さを認識してもらうことができたと思っています。郷土愛を醸成する機会として大変意義のある会議だったと感じております。

高校生や中学生はいろんな形で頑張っており、特にスポーツ競技は九州大会、全国大会にも出場される選手が増えたと感じています。

地場企業については、子ども達だけでなく、親御さんにも知ってもらう必要がありますし、インターンシップで学生と地場企業を繋ぐフレシーなどの活動を通して、そういった体制を作り上げていかなければならないと思っております。


地域一体となり「県南の雄都」として相応しいまちづくりを進めます(中村市長)


−中村市長に伺いたいのが今後の八代市としての取組みについてお話をお願いします−

中村市長:TSMCの熊本進出により、熊本県は大きな転換期を迎えております。県北を中心に半導体関連企業が次々と進出し、その経済効果が大きく取り上げられている中、本市としても、この局面を絶好のチャンスと捉えています。そのため、台湾との航路サービスが拡充された八代港の利活用を促進するとともに新八代駅周辺の物流・人流機能の向上を図るための開発に向けたグランドデザインの策定に取り組んでいます。このグランドデザインでは、人流や物流の核となる集客施設として「文化コンベンションセンター」の位置づけを行い、新八代駅周辺におけるまちづくりの将来像を定めることとしております。さらに、企業誘致用地の確保に取り組んでいくことで、県南地域全体の浮揚につなげていきたいと考えております。

また、中長期的には、八代・天草シーライン構想を推進しております。シーラインの実現は、八代と天草間を車で10分で結び、広域的かつ多機能なまちづくりが期待できると思っております。天草地域も含めた県南のけん引役として「県南の雄都」と呼ばれるに相応しいまちづくりにチャレンジしたいと考えています。

八代・天草シーラインは現在、構想路線でありますが、来年度は一つ格が上がるというような話もあり、期待が持てると思っています。中九州横断道路や熊本天草幹線道路など熊本では多くの道路事業が進められており、南九州西回り自動車道もあと少しで水俣と出水が繋がろうとしています。このような状況を見越しながら、シーライン実現の要望を続け、国においても構想の必要性を理解していただけるようになったと感じています。今後も八代青年会議所をはじめ関係団体の皆様と一緒になって、取り組んで行きたいと思っております。


−最後に髙見理事長、今回の対談を踏まえ、今後の抱負について、お話しいただければと思います−


髙見:八代市の現状の話から未来の話まで聞かせていただきまして、本当にありがとうございました。特に最後のお話、この新八代駅周辺の開発、それに伴う文化コンベンションセンター、同時に八代の本町周辺の賑わいの創出、あわせまして、八代・天草シーライン、といった、若い世代が、今後の10年後20年後、自分たちの子供、孫の世代に、この八代に住んでよかったとか、いろんな産業が増えて魅力ある都市に住んでいるといったような実感を持っていただくためにも、非常に大事な部分なのかなと思います。

ただ一方で、私たち青年会議所は、仕事をしながらこういった地域活動をさせていただいておりますが、なかなか一般市民レベルで主体的に街作りに取り組むことや、八代市のことを考えるような機会が、少ないと感じております。

どうしても賃金等に比例してそこまで考えられない人たちも、少なからずいらっしゃるのかなと思います。最後に市長におっしゃっていただいたように、この町のことは市民みんなで考えていく必要があると思います。青年会議所としても、民間のいい部分は、フットワークが軽かったり、いろんな企業さんとの連携が素早くできたりとか、市民に対して周知ができるといったところもあると思いますので、そういったところの市民の意識を上げる活動に、今後とも注力していきたいなと感じました。


−ありがとうございました。それではこれをもちまして、今回の対談事業を締めさせていただきます。長時間にわたり、ありがとうございました−


PROFILE

 

髙見聡一郎(たかみ そういちろう)

一般社団法人 八代青年会議所第64代理事長

 

 

 

中村 博生(なかむら ひろお)

平成10年〜市議会議員(2期)

平成14年〜県議会議員(4期)

平成25年〜八代市長に就任(現在)

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